【就業規則】判例法理と労働契約法7条
労働契約の法源4つについてはこちらの過去記事をどうぞ↓↓↓
就業規則は法源としての性質について、長い間議論となっていました。
昭和43年、秋北バス事件の判例により、合理的な労働条件を定めていれば法的規範性が認められるとされました。
さらに、昭和61年、電電公社帯広局事件で契約説が判旨で明示されました。
(「就業規則の規定内容が合理的なものであるかぎり…労働契約の内容をなしている」)
こ後の判例では契約説が繰り返し述べられるようになり、平成20年に成立した労働契約法第7条にて契約性(約款性)を受容し条文化されました。
ここで労働契約法第7条を詳しく見ていきましょう。
労働契約法 第七条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
①適用範囲
労働契約成立時点において存在している就業規則が適用されます。
②手続き(意見聴取、届出、周知)
就業規則の契約補充効の発生要件として周知が必要としています。
これは方法が条文上明記されていないので、実質的な周知で足ります。
労働者が実際にその内容を知ろうと思えば知れる状態、でOKということです。
※労働基準法上の周知は上記より厳しく、列挙された方法に限られます。
では、意見聴取と届出も成立のために必要とされているのでしょうか。
従来、学説の多くは就業規則は労働者と拘束する以上、3つの手続きが必須と
していましたが、労働基準法の手続規定が労働契約に与える影響には法的に整理できていない点、就業規則には特別手当等労働者のメリットもあることから、周知のみで足りるとなりました。
③合理性
個別具体的に考える必要があるとされています。
企業経営・人事管理上のメリットや必要性と労働者の利益・権利のバランスをとり、
労働者の利益を不当に制限しないよう十分に留意しなくてはなりません。