【就業規則】不利益変更が成立する要件
労働契約の変更において、労働者の同意が必要です。
では、1対多数である就業規則はどうなるのでしょうか。労働者すべての合意がいるのでしょうか。
この点、労働契約法で合意によるものであることが求められました。
特に内容を働く側に不利益(デメリットが大きい)なように変更するのは合意が必要と定めています。
不利益な変更には一定の手続き+内容に合理性があることでその変更は成立します。
●一定の手続き=周知する
周知が取られていないと有効に成立しない。
単に情報へのアクセス可能性では足りず、認識理解可能性が必要とされる。
判例あり:概略的説明では不足。説明文書の配布や説明会の実施等全従業員に対して具体的に説明する努力を払う必要がある。(中部カラー事件)
●必要性・相当性・合理的
この合理性の判断が就業規則の不利益変更が成立するか鍵になっているといってもよいです。
少し長いですが、判断の要素として判例で述べられてきたことを下記に掲げます。
①変更により労働者が被る不利益の程度 賃金については最も重い
②事業主側の変更する必要性
③社会的相当性はあるか? 内容の相当性や世間相場感
④不利益を緩和する措置 代償措置や緩和措置
⑤手続きの妥当性
労働契約法 第九条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。