【給与計算】固定残業手当の金額の設定
まず 固定残業制を有効に成立させるためには、通常の賃金と割増賃金部分が明確に区別できようにすることが必要です。
「割増賃金として法所定の額が支払われているか否かを判定できるように、通常の労働時間の賃金部分と割増賃金相当部分とを区別できるようにすること」
(東高判平成21年12月25日 東和システム事件)
明確に区分した上で、固定残業手当の金額と基本給の設定にも注意事項があります。
必要な情報
・1日の所定労働時間 例:8時間
・年間の所定労働日 例:210日
・年間の給与額とその内訳 例:月給25万円(基本給のみ)+固定残業手当
※住宅手当等割増賃金の計算に入れない手当もあります
手当の金額設定方法
①年間の所定労働時間を算出する。 8時間*210日=1,680時間
②年間の通常賃金額を計算する。 25万円*12か月=300万円
③通常の賃金の時給換算額を算出する。3,000,000円/1,680時間=1,786円
④割増賃金を算出する。 1,786円*1.25=2,233円
【この人の割増賃金の時給単価は2,233円となります】
⑤固定残業手当を決める。 30時間ならば66,990円以上となります。
注意点
・固定残業手当を30時間 50,000円としている
⇒30時間の割増賃金は66,990円なので違法状態。この金額以上の手当額にする。
・固定残業手当は40時間 90,000円 だが、基本給が160,0000円
⇒概算計算ですが、所定労働時間8時間*月所定労働日数21日=168時間
160,0000円/168時間=952円(時給)となり、東京都であれば最低賃金を下回るので違法状態。 基本給を上げるか、固定残業手当比率を少なくすることが求められます。