【給与計算】雇用保険料と社会保険料の控除
給与は、基本給に各種手当てを加えた額から、所得税住民税や雇用保険料社会保険料等を控除(支給額から引いて計算すること)して支給額を算出します。
この記事では、①雇用保険料と②社会保険料の控除について述べていきます。
①雇用保険料
●控除額の算出
給与計算期間(通常は1ヶ月)の総合計(一部除外)に決まった率をかけて算出します。
総合計には、基本給はもちろん、残業代や住宅手当など各種手当、通勤手当(所得税では非課税ですが)等も含みます。
一般の事業者の場合、労働者負担分は3/1000(0.3%)なので、月給30万円で900円程度です。
●いつ控除するのか?
雇用保険料は、給与支給のたびに前述の率をかけて算出して控除します。
ちなみに、この雇用保険料は事業者が一時的に預かっているに過ぎず、指定の納付期間(原則毎年6/1から7/10までの間)に事業者負担分と合わせて納付します。
社会保険料には健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の3種類があります。
健康保険と厚生年金保険の加入要件及び適用除外要件はほぼ同一なので、事業主が両保険適用であれば資格取得喪失のタイミングは同じと考えて大丈夫です。
介護保険料は40歳に達した日(誕生日の前日!)がある月から徴収されます。
●控除額の算出
原則毎年9月に、一定期間の賃金総額を元に決定される標準報酬月額に法令で定められた率をかけて算出します。標準報酬月額は1万円~数万円の幅で段階的に上がり健康保険及び厚生年金保険でそれぞれ上限があります。
加入している協会の都道府県や健康保険組合で率が異なるのですが、協会けんぽ東京は、健康保険料が4.905%、厚生年金保険が9.15%(いずれも労働者負担)です。
標準報酬月額30万円(総月給29万円~31万円)の場合は、健康保険料9,810円、厚生年金保険料18,300円が社会保険料控除として差し引かれます。
●いつ控除するのか?
控除のタイミングは雇用保険と少々異なります。
・納付期日は被保険者である月の翌月末
・前月分を当月支給分で控除するが、前月分を前月支給時に控除しても問題とはならない。
上記2点がポイントとなります。
給与計算期間:当月20日締翌月15日払の場合
当月20日まで被保険者であることの社会保険料は翌月15日支給時に控除
給与計算期間:当月20日締当月末払の場合
パターン①当月20日まで被保険者であることの社会保険料は当月末支給時に控除
パターン②当月20日まで被保険者であることの社会保険料は翌月末支給時に控除
社会保険料も雇用保険料と同様に、労働者の賃金から控除したものは一時預かりに過ぎず、翌月末日までに事業者負担分とあわせて納付する義務があります。
事業者負担分は法定福利費として費用計上するため、預り金と法定福利費の合計が納付額となると預り金の元帳がきれいに推移します。当月締当月支給の場合には翌月支給分から控除した方が良いかと考えます。
※雇用保険とは?
雇用保険は、週20時間未満の労働者、短期間(30日以下)労働者、季節労働者や日雇労働者、学生等は適用除外になりますが、雇われて働く多くの人が適用になる保険です。
適用になるということは、保険料を支払う必要があるということです。
保険料は使用者と労働者がそれぞれ決まった率を負担します。労働者負担分は月給総計の0.3%(一般労働者)なので、月給30万円で900円程度です。
ちなみに使用者負担は0.6%(一般労働者)です。企業側の方が多めに負担していますし、その他にも労災保険料も納めています。
給付の種類としては、失業した際の失業手当や資格取得等一定の教育を受けた際の一部補助、育児休業給付金などがあります。雇用調整助成金も雇用保険から出ています。