労務未経験社労士が行く!

従業員数5名~20名程の企業様(個人事業主を含む)の労務経理支援をしています。押印とか電子申請とか、手続のピンポイントのここがわからない!!悩む!!を解決していきましょう!

【判例】解雇は有効か無効か

裁判で解雇が有効か無効か争われたものを3つ紹介します。

 

判例は事件の内容について、

 何が認められたから ⇒ 解雇有効になりそう

 何が認められたから ⇒ 解雇無効になりそう

これらに注目して読みましょう。

2つのバランスを鑑みて有効無効を判断しています。

鑑みる根拠は法令や判例です。何を根拠としているか?も併せて考えます。

 

就業規則の懲戒事由に該当した解雇は解雇権の濫用にあたり無効か?

 <最高裁の判断>高知法放送事件 最2昭和52/11/31

・労働者の行為は就業規則の普通解雇事由に該当する。

・しかし、解雇は労働者の生活に多大な影響があることから普通解雇事由に該当しても直ちに解雇できるものではない。

・解雇が著しく不合理で社会通念上相当でないときは解雇権濫用とし、解雇無効。

・労働者に一定の帰責性を認めたが、労働者に有利な事情を拾っている。

 

■労働能力の不足を理由に解雇が有効に成立するには?

 <東京地裁の判断>セガエンタープライゼス事件 東京地裁平成11/10/15

・労働能力が平均水準に達していないことを理由に直ちに解雇有効とはならない。

・著しく能力が劣り、改善の見込みがない場合は解雇有効となりうる。ただし、経営者は能力向上を図る等対応の余地があり、解雇無効。

・人事考査は下位10%であったが、社内相対的なものであった。能力評価基準は明確であるべき。

 

■労働関係の信頼関係を著しくそこなう場合の解雇は有効か?

就業規則の普通解雇事由には、勤務成績がよくない、職務に必要な適格性を欠く、やむを得ない事情がある等規定あり。

就業規則に規定があれど、単に適格性を欠くのみでは解雇を有効に成立させるためには不足。

・労働者は学校(使用者)運営等にことごとく反発、教育や運営の根幹に関わること事実を誇張歪曲して理事長と学校を非難攻撃した。週刊誌に伝え、内容が掲載された。

・理事長の名誉を著しく買いするものであり、学校の信用を失墜させる行為であり、雇用関係の信頼関係を著しく損なうため、解雇権の濫用にはあたらず解雇有効。