【ハラスメント】私法上の救済
ハラスメントと思われることが起きた時、被害者を救う方法はどのようなものがあるのでしょうか。
①ハラスメント加害者への責任追及
侵害する権利:働きやすい職場環境の中で働く利益
※福岡セクハラ事件(福岡地判H4.4.16)
事例:上司という立場を利用して関係をせまる、卑猥な言葉をかける、いじめ嫌がらせ
判断と調整のポイントは、業務上の必要性と相当性によるとされます。また、周りからわかりづらい点、立場上明確な意思を表しにくい点から、拒絶の行為がなくとも裁判所は状況から必要性相当性を判断しています。
②加害者の行為に対する使用者責任
どんな時か:業務関連性が認められる時
根拠法:民法709条不法行為の成立からの民法715条損害賠償責任の追及
事例:上司が行っても、同僚が行っても認められる
業務関連性が認められると、その使用者の責任が免責される判断はとても厳格です。
③使用者自身の配慮義務違反に基づく責任
使用者には職場環境配慮義務=働きやすい良好な職場環境を維持する義務があります。
根拠法:民法1条2項信義則、労働契約法3条4項信義に従い誠実に
加害者へ直接に責任追及が難しくそこからの使用者責任を問うことが場合、この規定を使って責任追及をしていくことができます。とても重要な規定!
④被害者の不利益取り扱いへの効果
被害者の態度により、不当に解雇、配転、降格等不利益な取り扱いがされることがあります。
根拠法:民法1条3項信義則、労働契約法3条5項権利濫用の禁止、民法709条不法行為、民法90条公序違反
効果:上記違反が認められると不利益な取り扱いが違法で無効とされます。
判断のポイントは、必要性と合理性があるのか?