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【改正安衛法】労働時間の管理の具体的な方法

平成30年(2019年)4月に働き方改革関連法案の施行に伴い、労働安全衛生法が改正されました。

 

この改正により大きく変わったポイントがいくつかあるのですが、今回は労働時間の管理方法についてお話します。

 

事業主は客観的な方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければならなくなりました。

労働安全衛生法 第六十六条の八の三 

事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

 

労働安全衛生規則 第五十二条の七の三 

(安衛)法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。
2 事業者は、前項に規定する方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、三年間保存するための必要な措置を講じなければならない。

 

この管理義務は、従業員の多い少ないにかかわらず、1人でも従業員を雇っていればすべての企業で義務が生じます。

また、労働契約の内容や働き方の形態にかかわらず全ての労働者が対象となります。

労働基準法41条に定めるいわゆる役職者(管理監督者)等については管理義務は外れますが、あくまで役職名称でなく、実態に即して判断します。名ばかり部長でも実態は労働者と変わらなく使用者の指揮命令下に置かれていたら、管理義務は生じる、というわけです。

では、職場以外で働く場合や、裁量労働制を取っている場合は管理不要なのでしょうか。この場合についても、実態に即して労働時間を把握することが使用者の責務と考えられています。

 

平成29年に厚労省から出されたガイドラインを元に具体的な管理方法を見ていきましょう。

 

●使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・
終業時刻を確認し、これを記録すること。

⇒1日の労働時間の記録ではなく、始業と終業の時刻の管理を求められています。

 

●使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として
次のいずれかの方法によること。
(ア) 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
(イ) タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的
な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

⇒「自ら現認する」とは、目で見て確認することです。リモート勤務の場合は、スマホやPCのクラウド勤怠でも記録として認められます。

大切なことは、自己申告は認められないということです。実際裁判になった事例でも、以前より判定が厳しくなっていると聞いています。客観的な記録が必要となります。

 

事業主は、労働時間の管理をする制度を作った上で、従業員に自己申告にならないよう勤務始業終業時刻を打刻し記録をさせ、確認することが求められています。

 

厚生労働省 ガイドライン

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/pdf/guidelines.pdf