【最近の動向】性自認の話
性同一性障害、LGBTQ。
身体の性と心(自分が思う)性が異なるものをもつ人のことをさします。
人口の8%にも上ると言われており、よく話題にもあがっていますよね。
さて、身体の性と自認する性が異なる方が就労し、使用する場合に気になるポイントはどこにあるのでしょうか。
性自認の話は、労働者の人権にも関わる非常に大事なものです。
障害かあると医師の証明書がある、手術を受け身体的にも性が変わった等の客観的事実がなくとも、本人の気持ちは尊重されるべきものです。
令和3年5月の高裁判決でもその要保護性について認められました。
原告が主張の基礎とする自らの性自認に基づいた性別で社会生活を送ることは、法律上保護された利益である
経産省事件 東京高判令和3.5.27
法的に要保護性があるということは、その利益(この場合は社会生活を送る環境を整える権利)を保護する手立て、例えば本人の希望や主治医の意見をくみつつ対応の検討や説明義務を負うものとされています。
もし何も対応をしない場合は、民法709条不法行為責任についての規定の下での権利利益の侵害、過失の判断に関連する注意義務違反を問われる可能性があります。
もう少し具体的に考えていきます。
職場で一番問題になる点は、トイレでしょうか。
障害者雇用促進法で定められているように、本人の意向を十分に尊重し、業務遂行上において必要な措置を講じなければなりません。
しかしトイレは性自認が異なる方だけでなく、就労する全ての人が使う施設です。
他の労働者を含めたすべての労働者の利益を考慮する必要があります。
現在はその考慮を具体的に行うか抽象的なものでよいかは議論中です。
上記の配慮は事業主への過重な負担を及ぼすものは除かれますので、多目的トイレがないため増設、環境が整えられないので会社引っ越し等は求められらないものと考えます。